賞与の源泉所得税の計算方法の落とし穴

賞与の源泉所得税の計算方法の落とし穴

1.賞与とは

税務における賞与とは、定期の給与とは別に支払われる給与等で、賞与、ボーナス、夏期手当、年末手当、期末手当等の名目で支給されるものその他これらに類するものをいいます。(国税庁HPより抜粋)

 

また、給与等のうち、純益を基準として支給されるものやあらかじめ支給額や支給基準の定めのないものは、賞与に該当するものとされています。

 

これらのことから、毎月の給与とは別に給与を支給した場合には、その給与の支給は賞与の支給と考えることになります。

 

2.賞与の源泉所得税の計算方法

賞与の源泉所得税を計算するためには、賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表 (リンク先は平成27年分 国税庁HPより)を用いる必要があります。

 

この表の使用方法は、次のとおりです。

 

(以下 ※=社会保険料控除後とします)

 

      () 前月の給与から社会保険料等を控除します。

      () ()の金額と扶養親族の数から税率を求めます。

      () 賞与()に②を乗じて計算した金額が源泉徴収税額となります。

 

3.誤りやすいケース

2の方法で計算することはたくさんの方がご存知です。では、次のようなケースでは2とは違う方法で計算しなければならないことについてはご存知でしょうか?

 

      ➀ 前月の給与(※)の10倍以上の賞与を支給した場合

      ② 前月の給与がない場合

 

これら2つのケースは、かなり特殊なケースですので実務上めったに該当する事はありません。それだけに、該当している事に気づかずに2の方法で計算してしまうというケースも見受けられます。見落としてしまうことのないよう、私たちも特に注意しないと見落としてしまいます。

 

 該当した場合には次のように計算することになります。

 

 ➀ 前月の給与(※)の10倍以上の賞与(※)を支給した場合の計算方法

 

     () 賞与()÷6

     () () + 前月の給与

     () ()の金額を「月額表」に当てはめて税額を求めます。

     () () -(前月の給与に対する源泉徴収税額)

     () ()×6  ⇐ この金額が賞与から源泉徴収する税額となります。

 

 ② 前月の給与の支払いがない場合の計算方法

     (イ) 賞与()÷6

     (ロ) ()の金額を「月額表」に当てはめて税額を求める。

     (ハ) ()×6  ⇐ この金額が賞与から源泉徴収する税額となります。

 

 

賞与の源泉所得税を計算する際には、単純に前月の給与()だけを考えるのではなく、これら2つのケースに該当しないかどうかをぜひ考えてみてください。