申告漏れ相続財産の金額ワースト1
- 2016/09/07
- 税務
毎年11月頃に国税庁から相続税の調査状況が発表されますが、これによると相続税の実地調査で申告漏れが指摘される相続財産のうち現金・預貯金等の金額が、ワースト1となっています。
「平成26事務年度における相続税の調査の状況について」によると、申告漏れ相続財産の金額の内訳は、現金・預貯金等1,158億円(構成比35.7%)が最も多く、続いて有価証券490億円(構成比15.1%)、土地414億円(構成比12.8%)の順となっています。
現金・預貯金等の申告漏れ金額がワースト1である傾向は、ここ数年ずっと変わっておらず、税務署も、現金・預貯金等の調査には特に力を入れているようです。
現金・預貯金等の申告漏れの主なものは、いわゆる「名義預金」です。
名義預金とは、被相続人(亡くなった人)名義以外の預金口座が、実は被相続人の預金口座であると認定される預金のことです。様々な事情で作った家族名義の預金口座などが、後の相続税の申告では厄介な問題を引き起こすことになりかねません。
ここで大事なことは、「名義預金」と認定されないようにするということです。
この名義預金の一番の問題は、その財産が贈与されたものであるかどうかということです。
贈与されていないと判断される場合には、被相続人の相続財産とみなされてしまうからです。
税務上は、実態がどうであるかが問われますので、そのポイントをしっかり押さえておく必要があります。
- 受贈者は預金等の存在を知っているか
- 受贈者が預金等の管理を行なっているか
- 預金等の印鑑は受贈者のものか
- 預貯金等から得られる利息、配当等を受贈者が受け取っているか
もちろん、贈与を明らかにするためには、贈与契約書を作る、110万円を超える贈与の場合には贈与税の申告をするなどは、確実に済ませておきましょう。
安易な考えで財産を移転して実際の税務調査で指摘されるケースが多く見受けられますので、相続対策では特に注意したいところです。