減価償却は任意なのか ~会計基準と金融機関~
- 2016/03/17
- 税務
会計のルール
一般に公正妥当と認められる会計のルールにおいては、適正な費用配分を行なうことによって毎期の損益計算を正確にするという目的のために、減価償却という制度が設けられています。そのため、法人は一定の減価償却方法に従い、計画的、規則的に減価償却を行うこととされています。
法人税法のルール
法人税法において減価償却費については、法人が償却費として会計処理した金額のうち、その資産について選択した償却方法によって計算した償却限度額に達するまでの金額を損金の額に算入すると定められています。
従って、償却限度額に達するまでの金額であれば任意の金額を計上していたとしても、税務上問題が生じることはありません。
金融機関の見方
金融機関は融資などの検討をする際、実態がどうなのかという観点から判断をします。
利益を計上するために、減価償却費を計上していない決算書をお見かけすることもありますが、減価償却は一般に公正妥当な会計のルール上行うこととされていますので、減価償却を行っている状態の決算書に修正して判断されることになります。
従って、減価償却費を計上しないことによって利益を計上しても意味がありません。
その上、一般的に公正妥当な会計のルールに従っていない決算書であることから、減価償却以外のところにも恣意的な処理をしているのではないかという疑義が生じる可能性もあります。
このように法人税法に認められているからといって、会計のルールをおろそかにすると思わぬ不利益を被る可能性があるのです。
一般に公正妥当な会計基準には、中小企業の場合、「中小企業の会計に関する指針」や「中小企業の会計に関する基本要領」があります。
これらを採用していると金融機関対策上、有利になる場合がありますので、導入を検討してみることをおすすめします。