役員が病気で入院したことに伴って、役員報酬を減額した場合の取扱い
- 2016/11/11
- 税務
役員に対する給与は、定期同額給与、事前確定届出給与又は利益連動給与のいずれにも該当しないものは、損金の額に算入しないこととされています。
それでは、役員が病気で入院してしまい職務を執行できなくなったことから、毎月定額で支給していた役員報酬を減額した場合の税務上の取扱いはどうなるでしょうか?
事前確定届出給与は、事前に確定した額を届出て、その額を支給する給与です。また、利益連動給与は利益に連動して支給する給与です。従って、今回のケースはこれらには該当しません。定期同額給与に該当するのかどうかが論点となります。
定期同額給与とは
定期同額給与とは、簡単にいうと次に該当する給与のことをいいます。
(1) 毎月定額を支給した場合のその給与
(2) 役員に対する給与の支給額の変更が、次の3つのいずれかに該当する場合には、その変更前及び変更後の給与
イ.事業年度開始の日から3ヶ月以内に行われる変更
→ 定時総会における改定を意味します。(支給額の総額を総会で決議し、個別支給額を取締役会で定め
る場合も含まれます)
ロ.役員の職制上の地位の変更や職務内容の重大な変更による変更
→ 臨時改定事由といいます。
ハ.法人の経営が著しく悪化したことによる変更
→ 業績悪化改定事由といいます。
(3)継続的に供与される経済的利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの
では今回のような、病気で入院し役員としての職務を執行できなくなったことは、上記のいずれに該当するのでしょうか?
これについては、国税庁が公表している「役員給与に関するQ&A」において、職務の内容の重大な変更その他やむを得ない事情があったものとして、臨時改定事由に該当するとされています。
これは、予測しがたい偶発的な事情等による定期給与の額の改定で、利益調整等の恣意性があるとはいえないと考えられるからというのがその理由とされています。
従って、このような事情による役員に対する給与の変更は、変更前及び変更後の給与のいずれも定期同額給与に該当することになります。
また、役員が退院し従前の職務を執行できるようになったことから減額していた役員報酬を戻した場合についても、臨時改定事由に該当し、変更前及び変更後のいずれの給与も定期同額給与に該当することとされています。