在庫、売掛金に対するコスト意識
- 2016/09/14
- 経営
売上が増加し企業が成長するにつれ、在庫や売掛金は増えていく傾向にあります。
またその逆で、現金預金は減少していく傾向にあります。
この要因は、在庫や売掛金などの資産が現金化されるまでに時間がかかるからです。
売上が増えても現金化されるまでに時間がかかる資産が増えてしまうと、当然、資金繰りは苦しくなります。
確かに、在庫や売掛金などの運転資本は経営効率を高めるためには重要です。
つまり、その保有には「適量」があるということなのです。
適量を超えて在庫や売掛金を保有すると、その分コストが増えます。
在庫には、倉庫料や在庫管理者の人件費など、保有コストがかります。
そのうえ、陳腐化や品質劣化によって、商品の価値が低下し、廉価販売や廃棄によって、収益が悪化する
こともあります。
売掛金は、無利息でお金を貸し付けているのと同じですから、その利息分が機会損失となってしまいます。
また、債権管理者の人件費も保有コストになります。
得意先の経営状況によっては、売掛金回収が滞ると貸倒引当金の設定対象にもなります。
万が一、その得意先が倒産すれば、売掛金の回収ができなくなり、貸倒損失が発生することにもなります。
このように在庫や売掛金を保有するということは、お金を別の形に変えて持っていることと同じです。
その分リスクを抱え、かつ、コストがかかることを意味します。
リスクがなく、コストがかからないのは、原則として現金預金しかありません。
現金預金以外の資産として保有すれば、将来、利益を含んで回収できる可能性もありますが、それとは逆に、損失を計上するリスクを背負っているとも言えます。
そのため、在庫、売掛金に対するコスト意識を持ち、本当に必要な「適量」がどの程度かを検討する必要があります。