住宅借入金等特別控除と繰上返済

住宅借入金等特別控除と繰上返済

住宅借入金等特別控除とは

住宅借入金等特別控除とは、住宅ローンなどを利用して住宅の購入等を行い、一定の要件を満たして居住すれば、住宅ローンなどの年末残高の合計額等を基準とした一定の金額を、居住した年より10年間にわたり所得税額(控除できない場合には、住民税額)から控除するものです。この制度は、平成31630日までに居住した分について適用されます。

控除額は住宅ローンなどの年末残高の合計額等を基準に計算するため、住宅借入金の年末残高が多いほど控除を受けられる金額は大きくなります。

 

繰上返済との関係

繰上返済を行うと利息の総支払額が減少することは、よく知られています。

それでは、繰上返済と住宅借入金等特別控除との関係はいかがでしょうか?

次の例をご覧ください。

 

 -例-

 住宅借入金4,000万円、25年返済、金利1.8%(変動なし)

 住宅取得日:平成276月(同日居住開始)購入額4,000万円

 住宅借入金特別控除:期間10年、控除率1.0

 平成29年に500万円を繰上返済

 繰上返済により利息の総支払額の減少分は、2,227,225円とする。

 

繰上返済をした場合             繰上返済をしなかった場合

借入金残高

控除額

借入金残高

控除額

平成27

38,718,972

387,100

平成27

38,718,972

387,100

平成28

37,414,885

374,100

平成28

37,414,885

374,100

平成29

31,087,324

310,800

平成29

36,087,324

360,800

平成30

29,645,867

296,400

平成30

34,735,867

347,300

平成31

28,178,464

281,700

平成31

33,360,084

333,600

平成32

26,684,648

266,800

平成32

31,959,537

319,500

平成33

25,163,943

251,600

平成33

30,533,780

305,300

平成34

23,615,865

236,100

平成34

29,082,360

290,800

平成35

22,039,922

220,300

平成35

27,604,814

276,000

平成36

20,435,612

204,300

平成36

26,100,672

261,000

合計

 

2,829,200

合計

 

3,255,500

 

この表から、繰上返済をしたことによる税額控除の減少分は、3,255,500円-2,829,200円=426,300円となることが分かります。

このように繰上返済を行うと税額控除を受けることのできる金額が減少してしまうことになります。

しかし、利息の総支払額の減少分は2,227,225円ですので、両者を比較した場合、繰上返済を行った方が、金銭的にメリットがあることになります。

 

どちらも借入金残高を基準に計算しますが、一般的には支払利息の利率の方が高いため、支払額総額で考えた場合には、繰上返済を行う方が金銭的にメリットがあります。

ただし、住宅借入金等控除は毎年税額が控除されるのに対し、繰上返済の場合は、返済方法にもよりますが、効果を実感できるのは将来になります。

繰上返済を行う場合には、その時点から将来までの経済状況などもふまえた上でのシミュレーションを行うことをおすすめします。