会社役員賠償責任保険に新情報!!
- 2016/03/31
- 経営
会社役員賠償責任保険
会社役員賠償責任保険とは、会社役員が業務の遂行にあたり、保険期間中に損害賠償請求を受けた場合に、総支払限度額の範囲内で保険金を受け取ることができる保険です。
この保険は、会社法上の問題により、普通保険約款等において、株主代表訴訟で役員が敗訴して損害賠償責任を負担する場合の危険を担保する部分を免責する旨の条項を設けた上で、別途、その部分を保険対象に含める旨の特約を付帯する形態で販売されるのが一般的でした。
そして、この会社役員賠償責任保険の保険料を会社が負担した場合には、給与等として所得税が課税されることとなっていました。
しかしこのほど、経産省の「コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会」が取りまとめた報告書において、会社が利益相反の問題を解消するための一定の手続を行えば、会社が株主代表訴訟敗訴時担保部分に係る保険料を会社法上適法に負担することができるとの解釈が示されました。
このことから従前は特約とされていた部分が一体となった新たな保険が販売されると想定されます。
その新しく販売される保険契約に係る保険料を会社が会社法上適法に負担したとされる場合については、会社が負担する会社役員賠償責任保険の保険料は、会社から個人への経済的な利益の供与とはならず、給与課税されないとの見解が国税庁から示されました。
一定の条件
必要となる一定の手続きとは、次の手続きをいいます。
- 取締役会の承認
- 社外取締役が過半数の構成員である任意の委員会の同意又は社外取締役全員の同意の取得
想定される保険事故
- 新規事業への過大投資が本業の収益を圧迫し業績が大幅に悪化したことにつき、投資決定の判断に重大な過失があったとして、株主から損害賠償請求を受けた。
- 従業員の不正取引により会社が巨額な損失を被ったことにつき、取締役としての監視・監督義務を果たしていなかったとして、株主から損害賠償請求を受けた。
会社法上適法に負担したかどうかがポイント
今回のポイントは、会社が会社法上適法に負担したとされる場合かどうかがポイントとなります。適法に負担したとされる場合でなければ、従前通り給与課税となりますのでご注意ください。