「財産及び債務の明細書」から「財産債務調書」へ
- 2016/02/26
- 税務
平成27年度税制改正において、所得税等の申告をより適正化するために従来の財産及び債務の明細書を見直し、一定の要件を満たす人に対し、その保有する財産及び債務に係る調書の提出を求める制度が創設されました。
財産債務調書を提出しなければならない人
所得税等の確定申告書を提出すべき人で、年間の総所得金額が2千万円を超える人は従来「財産及び債務の明細書」を提出してきました。
平成27年度税制改正で、財産及び債務の明細書の提出要件を満たす人で、かつ、その年の12月31日において、時価3億円以上の財産又は時価1億円以上の一定の有価証券を所有する人は、その財産の種類、数量及び価額並びに債務の金額その他必要な事項を記載した財産債務調書を提出しなければならないとされました。
また、財産債務調書の提出の際には、別途、「財産債務調書合計表」も添付しなければなりません。
財産の価額
財産債務調書に記載する財産の「価額」は、その年の12月31日における「時価」又は時価に準ずるものとして「見積価額」によることとされています。
提出のメリット・デメリット
財産債務調書の提出にはメリットもあり、財産債務調書を提出期限内に提出した場合には、そこに記載がある財産又は債務に関して所得税等の申告漏れが生じた際の過少申告加算税等が5%軽減されます。
一方、デメリットとしての罰則もあり、提出期限内に財産債務調書を提出しなかった場合や期限内に提出されたものであっても記載すべき金額の記載がない場合及び記載が不十分であると認められる場合には、その財産又は債務に関して所得税等の申告漏れが生じたときは、過少申告加算税等が5%加重されます。