「役員借入金」をそのままにしていたら…
- 2016/09/30
- 経営
会社が資金調達をするにあたって一般的な方法には、金融機関からの借入があります。
しかしながら、会社の業績悪化や、緊急の資金需要で手続きをしている時間がないなど、金融機関からの借入が見込めない場合もあります。
このようなときに、手っ取り早く役員からその資金を調達している会社も多いのではないでしょうか。
これが、「役員借入金」です。
役員借入金については、会社と役員間の取引ということもあって、その返済期限が定まっておらず、元本がそのまま返済されずに放置されてしまっているという状況が見受けられます。
役員借入金は、会社側からすると債務になりますが、その逆で、役員側からすると会社に対する貸付金、つまり債権になります。
役員個人の債権なので、仮に将来その役員に相続が発生した場合には、その貸付金は相続財産になってしまいます。
したがって、貸付金が多いということは、相続財産も多いということとイコールなので、相続人に対して想定外の相続税が発生してしまうことにもなりかねません。
さらに、借入金はすぐに現金化することが難しいケースが多く、相続税の支払いができないという事態に陥ることも考えられます。
これが、「役員借入金」を放置してはいけない理由の一つです。
特にオーナー会社の場合、オーナー自らが個人の財産を投げ打って会社の資金繰りを良くしようと努力されていると思います。
しがしながら、役員借入金を将来にわたって放置してしまうと、このような想定外の事態が起こってしまう可能性があります。
ですから、「役員借入金」については、そのまま放置しないような対策を講じておかなければなりません。
取れる対策は、会社の状況によってまちまちです。
気になる方は、まず、貸借対照表の「負債の部」に、役員借入金が放置されたままになっていないか確認してみてください。