医療費控除10万円の壁と新・医療費控除
- 2016/10/11
- 税務
「今年は10万円を超えていないから、医療費控除はできない。」
これは、確定申告の時期になるとよく聞くフレーズです。
もちろん、たくさん収入がある人は、10万円を超えていなければ医療費控除はできません。
このことが一般的になってしまい、収入に関係なく一律「医療費控除には10万円の壁」があるという誤解が生じてしまっているようです。
しかし、この10万円の壁は、所得によっては低くなります。
総所得金額等が200万円未満の人については、この10万円が総所得金額等の5%の金額となります。
公的年金以外に収入がない65歳以上の人を例にすると、10万円の壁にあたるのは、年間320万円以上の年金収入がある人になります。
年間320万円以上の年金を受けとれる人は、そう多くはないと思いますので、10万円を超えていなくても医療費控除の対象となる人は少なからずいます。
思い込みにとらわれないようにすべきです。
さらに、医療費控除に関しては、平成29年1月1日からセルフメディケーション(自主服薬)推進のための「スイッチOTC薬控除」が始まります。
これは、特定の成分を含んだOTC医薬品の年間購入額が「合計1万2,000円」を超えた場合に、所得控除ができる制度です。(上限:88,000円)
スイッチOTCは、医療用から一般用に切り替えた、つまりスイッチしたということから「スイッチOTC」と呼ばれるそうです。
聞きなれない言葉ですが、実際は日常的に購入している医薬品も含まれているケースがありますので、厚生労働省のHP等で、確認してすると良いでしょう。
この制度は、従来の医療費控除制度と同時には利用できませんので、対象者自身で有利な制度を選択する必要があります。
また、この制度の対象となる人は、健康の維持増進及び疾病の予防のために、特定健康診断、予防接種、健康診断等を受けている人になります。
したがって、日頃からの健康管理を怠らないことはもちろん大切なことですが、「どうせ利用できないから。」などと安易に思い込んで、領収書を捨ててしまったなどということにならないように注意してください。