税務調査で外注費が給料に⁉
- 2016/09/26
- 税務
会社が外注費として支払ったものが、税務調査で給料として問題になるケースがあります。
外注費であれ、給料であれ、ともに経費であることに変わりはありません。
ただし、税務上の取扱いに大きな違いがあります。
一つは、消費税の取扱いについてです。
外注費は請負契約に基づく支払報酬なので、消費税の課税対象取引になります。報酬の支払いに係る消費税を売上などに係る消費税から控除することができるので、消費税の納付を抑えることができます。
給料は、雇用契約に基づく支払賃金であり、消費税の課税対象取引ではないため消費税の納付に影響を及ぼしません。
つまり消費税の納付ことを考えると、外注費の方が、はるかにメリットがあります。
この点が、外注費と給与の最大のポイントではないでしょうか。
もう一つは、源泉所得税の取扱いです。
外注費などの報酬に該当すれば、一定のものを除いて、源泉徴収の必要はありません。
逆に、給料に該当すれば、少額な場合を除いて、必ず源泉徴収が必要となるので、事務処理が煩雑になります。
この点からも給料ではなく、外注費にしたいという心理が働くのかもしれません。
給料と外注費を比較してみると、支払う会社側にとって、外注費の方にメリットが多いことがわかります。
しかし、メリットが多いからといって、外注費にするか給与にするかを、会社の裁量で決めることはできません。
こういった論点があるので、税務調査でしばしば問題になっています。
会社の裁量で決めることができないわけですから、支払が生じる場合には、国税庁の判断基準としているところを確認しておく方が良さそうです。
以下を参考までに。
(個人事業者と給与所得者の区分)
1-1-1 事業者とは自己の計算において独立して事業を行う者をいうから、個人が雇用契約又はこれに準ずる契約に基づき他の者に従属し、かつ、当該他の者の計算により行われる事業に役務を提供する場合は、事業に該当しないのであるから留意する。したがって、出来高払の給与を対価とする役務の提供は事業に該当せず、また、請負による報酬を対価とする役務の提供は事業に該当するが、支払を受けた役務の提供の対価が出来高払の給与であるか請負による報酬であるかの区分については、雇用契約又はこれに準ずる契約に基づく対価であるかどうかによるのであるから留意する。この場合において、その区分が明らかでないときは、例えば、次の事項を総合勘案して判定するものとする。
(1) その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。
(2) 役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。
(3) まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。
(4) 役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか。
(国税庁HPより)