繰越欠損金
- 2016/04/05
- 税務
繰越欠損金とは
欠損金とは、税金の計算上の赤字のことです。
課税所得がマイナスとなってしまった場合には、欠損金が生じます。
この欠損金を翌期以降に繰り越した状態を繰越欠損金といいます。
繰越欠損金のメリット
繰越欠損金は、青色申告法人が利用できる制度で、赤字を繰り越すことによりその後生じた黒字から赤字分を控除することができます。
過去の推移
繰越欠損金の繰越期間は、もともと5年間でした。その後、2度の改正をへて平成20年4月1日以後に終了した事業年度において生じた欠損金は9年間控除することができるようになっています。
平成27年改正
この繰越欠損金の控除制度は、平成27年度の税制改正により再び改正されることになりました。
- 中小企業のケース
中小企業は、改正前と同様に繰越欠損金の全額を控除できます。
さらに、繰越できる期間も9年間から10年間に延長されました。
- 大企業のケース
・平成27年4月1日から平成29年3月31日における事業年度の控除限度額
その繰越控除前の所得金額の65%になります。
・平成29年4月1日以降における事業年度の控除限度額
その繰越控除前の所得金額の50%になります。
繰越できる期間は9年間から10年間に延長されました。
中小企業にとっては、繰越控除期間が延長されることによる減税効果がありますが、大企業にとっては、繰越控除期間の延長よりも控除限度額の制限が結果として負担増になります。
中小企業に配慮しつつも、課税ベースを拡大したいという意図が見えてきますね。
中小企業と大企業によって異なる制度はたくさんありますので、その違いの確認には十分注意が必要です。